【1月9日 AFP】英政府は8日、テリーザ・メイ(Theresa May)首相がEUとの間で取りまとめた英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)に関する協定案の審議を9日から再開し、5日間の審議の後、15日午後7時(日本時間16日午前4時)以降に採決する方針を明らかにした。協定案が否決されれば英政府はEU離脱の延期を求めるのではないかとの見方もあるが、英政府はこれを否定した。

 協定案の採決は先月行われる予定だったが、下院で与野党の反発を受け先送りされた。メイ首相は協定案への支持を得るため、いまも与野党議員の説得を試みているが、英国が今年3月29日に合意のないままEUを離脱する懸念が高まっている。

 メイ首相はブレグジット協定の中でも最も激しい議論を呼んでいる北アイルランドに関する事項について、EUからさらなる確約を得ることを約束し、ここ数日EUの各首脳と協議してきた。

 メイ首相の報道官は、「確約を得るための協議は進行中だ」と述べ、メイ首相は来週の採決までに議員らに提示できる内容を得ることを望んでいると付け加えた。

 EU外交筋はAFPに対し、「英議会で協定案が否決されれば、メイ首相は離脱の延期を求めてくると確信している」と語った。しかしメイ首相の報道官は「欧州連合にその問題を議論している人たちがいるが、それは英政府の立場ではない」と述べて否定した。

 一方、英下院では8日、合意なき離脱の場合に政府の徴税権限を制限する財政法改正案が超党派の賛成多数で可決された。合意なき離脱を避けるよう圧力をかけるためだが、英首相官邸は財政法改正案の採決に先立ち、財政法改正は望ましいものではないが、大きな障害にはならないとの見方を示していた。(c)AFP/Alice RITCHIE, with Damon WAKE in Brussels