【1月5日 AFP】ロシアで米国人元海兵隊員のポール・ウィラン(Paul Whelan)被告(48)がスパイ行為の疑いで逮捕・起訴された問題で、英政府は4日、ロシアに「外交チェスゲーム」をしないよう警告した。ウィラン被告については、米英に加えアイルランドとカナダの国籍も保持する四重国籍者だと報じられている。

 ジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)英外相は英BBC放送とのインタビューで、英領事とウィラン被告との面会は今のところ実現していないと説明。「われわれは彼にあらゆる支援を行っているが、個人が外交チェスゲームに使われることには同意できない」と述べた。

 ロシア連邦保安局(FSB)によると、ウィラン被告は先月28日、モスクワで「スパイ行為に及んでいる途中」に逮捕された。一方の家族はウィラン被告がスパイであるとの疑いを否定し、モスクワを訪れていたのは米国人の友人とロシア人女性との結婚式に出席するためだと説明している。

 当局関係者がAFPに明らかにしたところによれば、ウィラン被告はアイルランドのパスポート(旅券)も保持しているが、ロシアには米国のパスポートを使い入国した。アイルランド外務省は、「支援の要請を受け、ロシアで現在拘束されているアイルランド国民と領事との面会を要請した」と述べた。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、ウィラン被告が出生国であるカナダのパスポートも保持していると報道。関係筋の話として、きょうだいと一緒にどちらがより多くの国のパスポートを取得できるかを競っていたと伝えた。(c)AFP