【12月31日 AFP】年内で退任するジョン・ケリー(John Kelly)米大統領首席補佐官は30日に掲載された米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)のインタビューで、違法に国境を越えて米国に入る移民らには「同情しか感じない」と語った。また、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が建設にこだわるメキシコ国境の「壁」について、実際は「壁」と呼べるものではなく、トランプ氏本人も「フェンス」などと言うことがあると明かした。

 米国ではトランプ氏が要求するメキシコ国境の壁建設予算をめぐって与野党が対立し、そのあおりで政府機関の一部閉鎖が続いている。

 ケリー氏はインタビューの中で「不法移民の大多数は悪い人たちではない」と断言し、多くの人々は人身売買業者に都合よく扱われていたと補った。その上で「彼らには同情しか感じない。特に子どもたちには」と胸の内を明かした。

 ケリー氏は国境の壁についても「率直に言って、あれは壁ではない」と切り捨てた。

「大統領は今でも『壁』と言うが、ありのままに『障壁』や『フェンス』と呼ぶこともしょっちゅうあるんだ。最近はスチールフェンスを使うことが多いな」

「政権内では早い時期に頑丈なコンクリートの壁は断念している。周りの人たちに必要なものや必要な場所について尋ねた時にね」

 メキシコとの国境沿いに3200キロの頑丈な「壁」を建設するという案は、2016年の大統領選でトランプ氏が掲げた公約の目玉。トランプ氏はツイッター(Twitter)に壁についての投稿を今年だけでも100回近く行っており、最近では28日にも「壁を建設(完了)するか、国境を閉鎖するかのどちらかだ」とツイートしている。

 トランプ氏は2020年の再選に向けた選挙運動で「約束をし、約束を果たした」をスローガンに採用している。(c)AFP/Ian Timberlake