【12月29日 AFP】リビア沖で救出されたアフリカ・中東出身の移民311人を乗せた救助船が28日、スペインに入港した。移民らは欧州の複数国に入港を拒否され、クリスマスも洋上で過ごしていた。

 スペインのNGO「プロアクティバ・オープン・アームズ(Proactiva Open Arms)」の救助船「オープン・アームズ(Open Arms)」が同国南部の町アルヘシラス(Algeciras)近郊の港に入港すると、乗っていた移民らは拍手喝采した。

 移民らはソマリア、シリア、コートジボワールなど19の国々の出身者で、3分の1以上に当たる139人が未成年。スペインの赤十字社(Red Cross)の担当者によると、健康状態は概ね良好だという。

 移民らは21日、3隻の船に乗っていたところを救助されたが、イタリアとマルタから入港を拒否された。スペイン政府によると、リビア、フランス、チュニジアもプロアクティブ・オープン・アームズからの入港許可要請に応じなかった。

 スペインは今年8月に慈善団体の救助船の入港と乗船していた移民の入国を認めていたが、受け入れはそれ以来となる。

 国際移住機関(IOM)によると、今年に入ってイタリアもしくはマルタに向かっている途中で死亡した移民は1300人以上に上る。欧州を目指す移民にとって地中海の航海は、死の危険と隣り合わせだ。

 スペインは今年、ギリシャとイタリアに代わり、欧州に入る移民の主要な到着先となった。IOMによれば、今年に入って海路でスペインに到達した移民は5万6000人を超え、その一方で、769人以上が到着前に死亡している。(c)AFP/Maud Watine