■政府も保護に力

 中国当局は、長江に生息していた別の水生哺乳類で、「バイジ」と呼ばれたヨウスコウカワイルカの二の舞を演じないようスナメリの保護に力を入れている。ヨウスコウカワイルカは2006年に絶滅したと考えられており、中国の自然保護政策上の大きな汚点となっている。

 2016年1月、習近平(Xi Jinping)国家主席は河川保護の強化を呼び掛けた。これには、開発の抑制、漁業規則の厳格化などが含まれている。同年内に正式なスナメリ保護のための行動計画が制定され、川から保護地区への移送、人工繁殖の研究などが行われた。

 1992年に設立された天鵝洲麋鹿自然保護区は、イルカやネズミイルカなどクジラ類が移送後も生存、繁殖している世界初かつ唯一の地とうたわれている。

 同自然保護区の湖周辺に住む漁師は転職を奨励されている。ワン・ヘソン(Wang Hesong)さん(46)は、保護地区を巡回する警備員となった。

「あそこに母親と赤ん坊がいる」。ワンさんは、銀色の背中が二つ水面に浮かび上がったのを見て、船のエンジンを止める。だが、恥ずかしがりのスナメリはすぐに水に潜ってしまった。

「水面に上がって来るのは、息をするためのたった数秒だけだ…私たちは毎日見まわっているので、毎日見ることができる」