【12月25日 AFP】インドネシアのジャワ島(Java)で、野外ライブで演奏中に津波にのみこまれた人気バンド「セブンティーン(Seventeen)」のリードボーカル、リーフィアン・ファジャルシャー(Riefian Fajarsyah)さん(35)の妻で行方不明になっていたディラン・サハラ(Dylan Sahara)さん(25)の死亡が24日に確認された。

 ジャワ島西端タンジュンルスン(Tanjung Lesung)ビーチリゾートで22日、野外イベントでセブンティーンが演奏していた時、ディランさんも会場にいて津波に巻き込まれ、行方が分からなくなっていたが、地元メディアによると24日午後、病院でディランさんの遺体が確認された。遺体は25日に埋葬された。

 女優で有名政治家の娘でもあるディランさんは、地元の東ジャワ州ポノロゴ(Ponorogo)県でテレビのパーソナリティーを務め、来年には選挙に出馬予定だった。津波の翌日は、ディランさん26歳の誕生日だったという。

 ファジャルシャーさんはインターネット上で「彼女も私も完璧ではなかったが、それでも彼女は常に最高の妻であろうとしていた」と、ディランさんを悼んだ。またソーシャルメディアにも、ファジャルシャーさんがディランさんのひつぎをなでる姿が投稿された。

 セブンティーンはアルバム6枚をリリースし、インドネシアで多くのファンを持つ人気バンドだが、22日の津波でバンドのベーシスト、ギタリスト、ドラマーとロードマネジャー、スタッフ1人が犠牲になり、生き残ったメンバーはファジャルシャーさんただ一人となった。ベーシストとロードマネジャー、スタッフの葬儀は24日に営まれている。

 インターネットでは、セブンティーンの演奏に合わせて観客が手拍子をしたりバンドに声援を送ったりしているところへ突然津波が押し寄せ、ステージにいたバンドメンバーが観客側へ押し流される様子を捉えた動画が拡散し、衝撃が広がった。

 ファジャルシャーさんは多数のフォロワー数を誇る自身のインスタグラム(Instagram)アカウントに、「ディラン・サハラ、ぼくは君なしでどうやって生きていけばいいんだ?」と悲しみのコメントを投稿する一方、ファンらに向けて「祈ってくれてありがとう。皆さんの優しさに応えられるのは神のみです。私の妻、ディランが安らかに眠ることができるように、彼女のために祈ってください」と謝意を示した。(c)AFP