【12月25日 AFP】スペイン・バスク(Basque)地方のある大学生のグループは5年前、産業界に旋風を巻き起こしたいと考えた。どんな分野でも良かったが、できれば食品や飲料関連の業界にしたかった。(※この記事は、2018年11月4日に配信されました)

 イマノルさん、イニゴさん、ゴルカさん、アリッツさん、タイグさんの5人組は、中でも最も伝統的な産業を選択した。そして、その伝統故に非常に保守的だったワイン業界に、画期的な青色のワインなどを送り込み、新風を吹かせた。

 彼らはバスク大学(University of the Basque Country)で2年間、学内の化学エンジニアや外部のフードイノベーションセンターなどの協力を得ながら研究を進め、2015年にスタートアップ企業「ジックライブ!(Gik Live!)」を立ち上げた。

 初年度のワイン販売数は3万本で、2017年には50万本に迫った。同社は現在、世界21か国に輸出しており、そのうち最大の市場は米国、次いでワイン好きで知られるフランスとなっている。最初は5人で始めた会社も、今では従業員12人を抱えるまでに成長した。

 バスク地方の最大都市ビルバオ(Bilbao)北方の町ポルトゥガレテ(Portugalete)にある同社オフィスのバーで、アイルランド系バスク人の共同創設者タイグ・マッカーシー(Taig Mac Carthy)さんはこう語った。

「多くの人々にとって、ワインは変えてはならない神聖なものだということを、僕たちは理解しています」「でも僕たちは、何かを変えたいのです。挑戦することを恐れてはいません」

■青色のレシピ

 ブルーワインの入ったグラスをちらっと見ただけで、ソムリエはそそくさと退散するだろう。目が覚めるような青いワイン「ジックブルー(Gik Blue)」は、スペイン国内の数か所のワイナリーで、伝統的な手順に従って造られている。

 どんなレシピなのだろうか?

 大量の白ワインに少量の赤ワイン、それにほんの少しの果醪(かもろみ)または搾りたてのグレープジュースを混ぜ合わせる。

 青い色は「天然素材とテクノロジー」の融合の結果で、インジゴカルミンと赤いブドウの皮に含まれるアントシアニンの2種類の色素によって生まれる。だが、それ以上は「企業秘密」だという。スペインの他の銘柄も後に続き、青いスパークリング・カバなどを売り出した。

 一方で、同社は別の種類の商品も次々と生み出している。中には、アールグレーティーを浸出させた赤ワインや煎茶を浸出させた白ワイン、あるいは「バスタルデ(Bastarde)」と名付けられたスパイシーな赤ワインなどがある。ネット販売の価格帯は、1本11~13ユーロ(約1400~1700円)で、同社によると購入者は男女問わず25~45歳が中心だという。