■行列して走る大型貨物車

 米国では、大型貨物トラックが隊列を成し車間距離を詰めた状態で高速道路を走行する実験が行われている。先頭のトラックが後続車を導くシステムだ。

 これには3重の利点がある。まず、前方のトラックの真後ろにつくことで空気抵抗が減り、燃費が向上する。このため、環境汚染も抑えられる。さらに、必要となる運転手が少なくて済み、余剰人員を他の業務に充てることができる。

 高速道路のインフラも、5Gによって可能となる「安全なコミュニケーションチャンネル」を通じて運転に介入し、スピードを制御できるとデュボシェル氏は言う。

 日産自動車(Nissan Motor)は、魚が群れの中でぶつからずに泳ぐ点に着目し、その習性をよく観察して再現した衝突回避システムを2009年に開発。自動車の安全技術に応用している。

 一方、国際会計事務所デロイト(Deloitt)のギヨーム・クリュネル(Guillaume Crunelle)氏は、コネクテッドカーの動きをアリの群れにたとえている。「相互接続性によって、ぴったりのタイミングで発進・停止し、他の車との兼ね合いを見て適切な進路を取れる」

 前の車の運転席からの眺めを後続車に映像で送信し、安全な追い越しを支援する技術「XtraVue」も北京モーターショーで披露された。開発したヴァレオは、駐車場の入り口に車を放置すれば自動で空きスペースを探して駐車してくれる「自動駐車」システムの実証も行っており、来年にも実装予定だとしてレンタカー会社の関心を集めている。

 長期的には、各車の車載センサーから集めた情報を基に町内の駐車場の空きスペースを地図化し、最寄りの場所に誘導するアプリを実用化する計画だ。デュボシェル氏によると、フランスの首都パリでは「ドライブ時間の約3割が駐車場探しに費やされている」という。(c)AFP/Daniel ARONSSOHN with Julien GIRAULT in Beijing