【12月21日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は20日、11月に火星に着陸した無人探査機「インサイト(InSight)」が、同機に搭載された主要な観測機器である地震計を地表面に設置することに成功したと発表した。

SEIS(Seismic Experiment for Interior Structure)」として知られるこの地震計は、フランス国立宇宙センター(CNES)が開発した。

 インサイトの調査責任者を務めるNASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)のブルース・バネルト(Bruce Banerdt)氏は「地震計の設置は、インサイトを火星に着陸させるのと同じくらい重要だ」と説明する。地震計はインサイトで最も優先度が高い観測機器であり、今回の科学目標の約4分の3を達成するために必要な機器なのだという。

 NASAによると、インサイトは19日、ロボットアームを使用して、機体の前方1.64メートルの地面に地震計を設置した。この地震計は「火震(Marsquake)」として知られる地盤の動きを調べることで、地球の隣の惑星である火星の内部を科学者らがより詳細に理解する助けとなることを目的としている。

 2年間の探査ミッションの目標は、火星や地球などの岩石惑星が数十億年前にどのようにして形成されたかをより詳細に理解するために、観測史上初となる火星内部の立体地図を作成することだ。

 SEISの研究責任者で、仏パリ地球物理学研究所(IPGP)と仏パリ・ディドロ大学(Paris-Diderot University)に所属するフィリップ・ロニョーネ(Philippe Lognonne)氏は「地震計を地面に設置するのは、電話機を耳に当てるようなものだ」と話す。

「これで火星の表面下および深部から発せられるすべての地震波を検知するための最良の態勢が整えられたことに、われわれはわくわくしている」

 開発費9億9300万ドル(約1100億円)の火星探査機インサイトは、11月26日に火星に着陸した。(c)AFP