【12月21日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は20日、同国南部の対メキシコ国境から不法入国したり、必要書類を持たずに入国したりした移民について、米国内で「失踪」することを防ぐため、入国審査の終了を待たずにメキシコに送り返す方針を発表した。

 キルステン・ニールセン(Kirstjen Nielsen)国土安全保障長官は声明で、「わが国に不法入国するために制度を悪用しようとする外国人は今後、米国内で失踪することはできなくなる。国内では多数の人が裁判所への出頭に応じていない。今後、彼らはメキシコに滞在しながら移民裁判所の決定を待つことになる。『キャッチ・アンド・リリース』は『キャッチ・アンド・リターン』に置き換えられる」と説明した。

 グアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスを主とする中米諸国からは、母国での貧困や治安悪化を逃れた数万人規模の人々が米国を目指し北上している。トランプ大統領は、こうした人々の難民申請を制限するよう命じたが、この命令は国内の複数の裁判所により違法と判断され、差し止められている。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は「われわれは、これが不法入国の真に歴史的な減少につながるものと期待している。なぜなら、ここ(米国)に来て難民申請をし、決定を待つ間も米国内に滞在する動機がもはやなくなるからだ」と表明。

 ポンペオ長官は、「メキシコ政府に対してもこれを実施する意向を明示した」と述べたが、メキシコで数週間前に発足したばかりの新政権との間で正式な合意があったかは不明だ。(c)AFP