■安い服の高い代償

 消費者にとっての安い価格は、環境に対する高い代償を伴う。

 発展途上国では毎年、大量のエネルギーと資源を消費し、工場付近の河川を有毒化学物質で汚染しながら、安価な衣料品が大量生産されている。

 使用される素材は合成繊維や生物分解されないものが多く、洗濯さえも有害となる可能性がある。一部の衣類から落ちたプラスチック製のマイクロファイバーが、下水処理をくぐり抜け、オーストラリアのような安価な衣料品消費国周辺の海に流出する。

 オーストラリアの資源ごみの最大の輸出先である中国が数か月前、廃棄物輸入を禁止したことは、オーストラリアに破滅的な影響を及ぼした。

 中国が布を含む「汚染された」再生材の輸入を禁止したことで、オーストラリアの人々は、自分たちがどれほどのごみを出しているのか否応なしに考えさせられ、持続可能な方法を探そうと模索する動きが広まり始めた。

 メルボルンのディーキン大学(Deakin University)は、スウェーデンのアパレル大手「H&M(へネス・アンド・マウリッツ)」から、「循環デニム」の開発に対する支援を取り付けた。このデニムは、新しいデニムの染色に古いデニムを利用することで、ごみを減らし、染料が海に流出するのを防ぐことを目指している。

 聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会も、寄付された衣類を布の種類により選別し、別の目的に使うことでライフサイクルをのばすなどの取り組みを始めた。

 豪ファッション協会(Australian Fashion Council)のデービッド・ジャイルズ・ケイ(David Giles-Kaye)氏は、問題を最終的に解決するには、より早く、より安く服を手に入れようとする消費者の意識がカギとなる、指摘する。

「これらの動きはまだ非常に限られている。消費者がより安い商品を欲しがり続けると、メーカーはより持続可能性がない生産を行わざるを得なくなる」

 月々わずかな料金で、質の高い古着をレンタルできるというアイデアがうまくいけば、消費者の力で現状を変えることができると、フリーマンさんは確信している。「この店がはやって、人々の意識が高まり、ファストファッションを買いに行かないようになればいいと思っている」と、フリーマンさんは語る。

「私たちの需要がなければ、彼ら(小売業者)は供給を止めざるを得ない」 (c)AFP/ Glenda KWEK