【12月4日 AFP】イスラエル北部にある地中海沿いの古代港湾遺跡「カイサリア(Caesarea)」で、金貨と金のイヤリングが発見された。イスラエル考古学庁(IAA)が3日、発表した。900年前に十字軍がこの地域を制圧した際に残され、その後回収されなかったと考えられるという。

 IAAの発表によると、見つかったのは、金貨24枚とイヤリングの片方で、小さな青銅製のつぼに入っていたという。つぼは約900年前にさかのぼるアッバース(Abbasid)朝からファーティマ(Fatimid)朝時代の遺跡内に位置する家屋跡で発見された。家屋跡には井戸があり、この側壁の2つの石の間に置かれていた。

 IAAの発掘責任者の話によると、この隠されていた金貨が造られた年代は11世紀末だという。

 これにより可能となるのは「この財宝を1101年の十字軍によるカイサリア占領と関連づけることだ。これはこの都市の中世の歴史において最も劇的な出来事の一つ」と、IAAは説明している。

 IAAはまた、「同時期に記された文献には、カイサリアの住民の大半は十字軍エルサレム王国(Crusader Kingdom of Jerusalem)の国王ボードワン1世(Baldwin I、在位1100~1118)の軍勢によって虐殺されたとある」としながら、「財宝の持ち主とその家族は虐殺で命を落としたか、奴隷として売られたため、金貨を回収できなかったと推測するのが妥当だ」と続けている。

 IAAの貨幣専門家ロバート・クール(Robert Kool)氏は「見つかった金貨の1~2枚で農民の年収に相当する価値があったため、隠し場所に置いた人物は少なくとも富裕階級か、商業に携わっていたと思われる」と指摘した。

 カイサリアは紀元前1世紀、ユダヤ(Judea)がローマ帝国の一部となっていた時代にヘロデ王(King Herod)によって築かれた。(c)AFP