■「自分たちには関係ない」?

 移民当局は10月、アントニオ君の難民申請を認定した。イエメン難民たちの難民申請が却下された2日後のことだった。

 アントニオ君も父親も、大法院での父親の難民申請の審理が迫っているため先入観を与えたくないとの理由で、AFPの取材には応じなかった。

 ソウルにある難民人権センター(Refugee Rights Centre)の活動家キム・ヨンジュ(Kim Yeon-ju)氏はAFPの取材に対し、一握りのキリスト教徒は「他の人よりは進んで支援するかもしれない」が、一般的に韓国社会が難民を支援することはほとんどないと指摘した。「キリスト教徒の難民は、キリスト教系の団体からましな支援を得られる可能性はある」が、その支援は「非常に限られる」と言う。

 アントニオ君の友人たちが行ったような人目に付く活動は珍しく、このことがアントニオ君の難民申請で一定の役割を果たした可能性はあると、キム氏は述べた。

 アントニオ君が難民として認定されたことを受け、同級生らは自分たちの努力によって社会が難民に対し、これまでよりも寛容になることを期待している。

 同級生らは声明で、韓国には「政治的または宗教的弾圧はない」が「だからと言って、自分たちだけの世界に閉じこもり、『難民の問題は自分には関係ない…わが国を汚すな』と言えるのだろうか?」と訴えた。(c)AFP/ Jung Hawon