【11月29日 AFP】大規模森林火災の鎮火が伝えられたばかりの米カリフォルニア州パラダイス(Paradise)──。今後の取り組みの焦点は、北部シエラネバダ(Sierra Nevada)山脈の麓に位置する人口約3万人の町の再建だ。

 地球温暖化に伴う大規模森林火災が新たな常態(New Normal)となり始めているなか、米西部での住宅建設をめぐっては、欧州の森林エリアに点在する村落をモデルにするといった、斬新なアプローチが求められると専門家らは指摘している。

 米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)で森林学を研究するビル・スチュアート(Bill Stewart)氏は、「新たなパラダイスをデザインするにあたって人々が関心を抱いているのは、住宅を森林内に置かない方法の実現性だろう」と話し、その例として欧州の村落やスキータウンを挙げた。

 フランスとスペインにまたがるピレネー山脈(Pyrenees)周辺では、村落は牧草地に囲まれ、森林はその先にある。こうした形態についてスチュアート氏は、カリフォルニア州の将来のモデルとなり得るとしながら、「燃料の中に住むよりずっと安全だ」と語った。

 パラダイスで11月8日に発生した森林火災は「キャンプファイア(Camp Fire)」と呼ばれ、鎮火までに80人以上の命を奪った。行方不明者は約250人に上り、1万4000棟以上が焼失した。

 スチュアート氏は、気候変動や政府の不十分な森林管理、森林内の住宅戸数急増といったことが大規模火災の発生を招き、またその被害の規模がより深刻になる原因だと指摘している。

 フランス、ポルトガル、スペインなどの欧州諸国では、火災による森林喪失の割合が年々高くなっている。その一方でこれらの国では、カリフォルニアと近隣の州で見られるような大規模な破壊と焼失、死亡事故はあまり起きていないという。これについてスチュワート氏は、「森林内に人が住まない」ためと指摘する。