■警戒する博物館

 1970年に採択された文化財の不法輸出などを禁じる国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)条約は、国から奪われた文化財の返還を求めているものの、植民地時代など歴史的事例に関する規定は盛り込まれていない。

 植民地時代の列強諸国は、各博物館が所蔵品返還を強いられる可能性を警戒していることから、この条約の批准が遅れた。フランスは1997年、英国は2002年、ドイツは07年、ベルギーは09年にようやく批准した。

 欧州ではこの他、サハラ以南の国々から奪われた文化遺産を、オーストリアの首都ウィーンの世界博物館(Weltmuseum)が3万7000点、ベルギーのテルビューレン(Tervuren)にある王立中央アフリカ博物館(Royal Museum for Central Africa)が18万点を所蔵している。(c)AFP