■返還の法制化案も

 アフリカでは文化遺産の返還要求が高まっているものの、フランスでは略奪品であることが記録で十分立証されている場合でも、政府が国有資産を譲渡することが法律で厳しく禁止されている。

 ベナンは2016年、フランスに対して像や工芸品、彫刻、つえ、扉などの文化財の返還を要求。当初は拒絶されたが、マクロン氏が大統領就任後、訪問先のブルキナファソでの演説で「アフリカの文化遺産をアフリカに返還する」と発言したことから、期待が高まった。

 演説後にマクロン氏は、フランス人美術史家のベネディクト・サボワ(Benedicte Savoy)氏と、セネガル人著述家のフェルウイン・サー(Felwine Sarr)氏に、この件に関する調査を委託した。

 AFPが内容を確認した調査報告は、植民地時代にアフリカ諸国から奪われた文化遺産を、アフリカ諸国の要求に応じて返還することを法制化する提案を含んでいる。

 これには関係国からの要請や文化遺産の来歴に関する正確な情報、博物館など返還後の文化遺産を保管する適切な施設の存在などが条件とされているが、売買や物との交換、場合によっては単に盗まれた文化遺産の返却を支持する人々から歓迎されている。

 仏大統領府は博物館に「接触すべきアフリカの国を特定して返還を行うよう」促す方針で、早急にオンライン上で「アフリカの文化遺産コレクション目録」を作る必要性を指摘している。

 マクロン氏はまた「同様の状況で獲得した同じ性質のコレクションを保有している他の欧州諸国と、緊密に協力した上での徹底的な調査」を求める姿勢を示した。