■いら立つフランス政府

 フランス当局は明らかにいら立っている。主な理由は、ゴーン容疑者のCEO留任を決めたルノーが、日産が数か月前から内部調査を進めていたことに全く気付いていなかったことにある。

 ルノーは20日、CEO代行を任命するために緊急取締役会を開いた後、文書を発表。日産側がゴーン容疑者の不正行為についてどのような証拠をつかんでいるのか全く把握していないことを認めるともに、すべての情報を共有してほしいと同社に要請したことを明らかにした。

 フランスのブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済相は21日、3社連合の「強化」について、世耕弘成(Hiroshige Seko)経済産業相と22日に協議すると発表した。

 同日付の仏経済紙レゼコー(Les Echos)は社説で「日産とルノー経営陣の協議が一触即発の場になるのは必至」の見方を示し、「たとえ緊張が緩和されても、両社の信頼関係はある程度は失われてしまった」と書いている。

 とはいえ、ゴーン容疑者が今後どうなるにしても、また日産とルノーの相性が悪かったとしても、両社の連合が解体に突き進むと真面目に考えている人はいないと専門家は言う。

 両社はいずれも、自動車業界の未来を担うと考えられている電気自動車(EV)に対して、ゴーン容疑者が行ってきたような積極投資を今後も維持していくだけの資金力を単独では備えていない。

 ドイツの自動車専門家、フェルディナンド・デューデンホッファー(Ferdinand Dudenhoeffer)氏は「ルノーと日産は非常に緊密に結び付いている」とした上で「だからこそ両社の提携が脅かされるとは思わないし、ゴーン氏の後継者の下でもその関係は続いていくと思う」と述べた。(c)AFP/Daniel ARONSSOHN and Joseph SCHMID