■力関係を変えたい日産

 そんな中、ゴーン容疑者が日産の報酬の過少申告や、会社資金の私的流用の疑いで日本で逮捕されたことを受けて、同容疑者なしで3社連合は存続できるのかという疑問が渦巻いている。

 今回のショッキングな事態の展開に関しては、ゴーン容疑者が日産とルノーの提携を「不可逆的」なものにしようとしていた矢先に起きたという指摘がある。英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)によると、ゴーン容疑者は両社の経営統合を計画しており、日産の経営陣はそれに強く反対していたという。

 昨年の売上高で比較すると、日産の12兆円に対してルノーは590億ユーロ(約7兆5900億円)にとどまる。フランス国立科学研究センター(CNRS)のエコノミスト、エリー・コーエン(Elie Cohen)氏は「日産は力関係を変えようと動いている」とみる。

 ルノーは日産株の43%を保有する一方、日産はルノー株のわずか15%しか保有しておらず、議決権もない。日本側にはこのことに不満を感じている人が多い。

 3社連合の内紛は、フランス国内だけで4万7000人いるルノーの従業員18万1000人の生活を脅かしかねない。ルノーの工場の中には、日産車も大量に生産しているところが多いからだ。

 例えば、ルノーのカジャー(Kadjar)と、欧州でトップクラスの人気を誇るスポーツ用多目的車(SUV)である日産のキャシュカイ(Qashqai)は、部品や生産ラインの多くを共有している。