【11月21日 AFP】今度、ひらめきを求めて窓越しに外を眺める時は、その視線が貫いている物質が、爆発する古代の星の中心部で形成されたものであることを心にとどめておいてほしい。

 地球のはるか遠方にある二つの超新星残骸でシリカ(二酸化ケイ素、SiO2)を検出したとの論文が先週、「英国王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)」に発表された。シリカはガラスの主成分。

 国際研究チームは超新星残骸が発する電磁波を分析するために、米航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)を用いた観測を行った。その結果、シリカが発することが知られている電磁波の特定の波長に基づき、シリカの存在を示す「痕跡」を入手した。

 超新星は、大型の恒星が核融合燃料を使い切り、壊滅的な崩壊を引き起こす結果として発生する銀河規模の巨大爆発現象。この宇宙の大混乱の中で個々の原子が融合し、硫黄やカルシウムなどの多くのありふれた元素が生成される。

 シリカは地球の地殻の約60%を構成し、特定の結晶形の一つである石英は砂の主要成分だ。また、シリカはガラス窓やファイバーグラス、工業用コンクリートなどの重要な原料となっている。

 英カーディフ大学(Cardiff University)物理学・天文学研究科のヘイリー・ゴメス(Haley Gomez)氏は「超新星によって生成されるシリカが、宇宙全体に分布する塵(ちり)に寄与するほどの量に及んだことが、今回の研究で初めて明らかとなった。塵の一部は最終的に一体となり、われわれの故郷の惑星を形成した」と説明する。「窓の外を眺めたり、歩道を歩いたり、砂浜に足を踏み入れたりするたびに、はるか昔に燃え尽きた星の爆発によって生成された物質と触れ合っていることになる」

 2016年には、現代の電子機器の製造に用いられる金属のリチウムの痕跡を、新星爆発の中心部で発見したとする研究報告が発表された。この現象は白色矮星(わいせい)が近くの星から水素を吸収する際に発生する。(c)AFP