【11月10日 AFP】米連邦地裁判事は8日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が進めていたカナダ産原油を米国に運ぶ「キーストーンXL(Keystone XL)パイプライン」の建設を差し止める決定を下した。トランプ政権が同計画に対する禁止を解除した説明が不十分だと指摘した。

 米モンタナ州のブライアン・モリス(Brian Morris)連邦地裁判事による差し止め決定は、トランプ大統領と石油産業に痛手となり、環境保護運動家や先住民グループに大きな勝利となった。

 トランプ氏は昨年の大統領就任直後に80億ドル(約9100億円)のパイプライン建設計画を承認。2015年、当時のバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領は主に環境問題、とりわけ気候変動対策への米国の寄与を根拠に建設許可を却下していたが、トランプ政権は建設が雇用を生みインフラ開発を促すとしてこの決定を覆していた。

 今回の判断は暫定的なもので、建設計画が気候や文化資源、野生生物に与える影響について、政府にさらに徹底的な評価の実施を求めている。トランプ政権はこの決定について上訴できる。

 パイプラインはカナダ・アルバータ(Alberta)州のオイルサンド油田とテキサス州のメキシコ湾岸を結ぶもので、途中モンタナ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州にある既存の油送施設、オクラホマ州を通過する。

 計画は加エネルギー企業トランスカナダ(TransCanada)が準備を進め、米側の着工は来年を予定していた。環境保護団体や先住民グループは計画中止を求め3月、同社と国務省を相手取り訴訟を起こしていた。(c)AFP