【2月4日 AFP】カナダ西部でタールサンド(オイルサンド)から原油を抽出する際に排出される有害汚染物質が、企業側発表よりはるかに多い可能性があるとするトロント大学(University of Toronto)による研究報告が3日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academyof SciencesPNAS)に掲載された。

 カナダではアルバータ(Alberta)州にあるアサバスカ・オイルサンド(Athabasca Oil Sands)が世界3位の原油埋蔵量を持つが、トロント大の研究によると、原油抽出の過程で空気中に排出される多環芳香族炭化水素(PAH)が推定発表値より2~3倍も高い可能性があるという。

 数日前には、論議を呼んでいるカナダから米テキサス(Texas)州に原油を送るキーストーン(Keystone)パイプラインの建設計画について米国務省(US State Department)が気候変動や環境への影響はほとんどないと発表したばかり。だが今回の報告によって、オイルサンドに関する環境影響評価の正確性に新たな疑問が出てきた。

 研究を行ったトロント大のチームによると、政府公認の現在の推定値では「くず鉱池」と呼ばれる排水槽から蒸発するPAHは考慮されていないが、これこそが主な汚染源と考えられるという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN