【11月8日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は7日、第2次世界大戦(World War II)中に権威主義的なビシー(Vichy)政権を率い、ナチス・ドイツ(Nazi)に協力したフィリップ・ペタン(Philippe Petain)元国家主席について、第1次世界大戦(World War I)では「偉大な軍人」だったと擁護し、大きな批判を浴びた。

 フランス軍は6日夜、第1次大戦中に軍を率いた司令官8人をしのぶ式典を10日に行うと発表。その中にペタン元主席が含まれている。

 マクロン氏は、同大戦終結100周年を記念する国内訪問の一環で北東部シャルルビルメジエール(Charleville-Mezieres)を訪れた際、「フランスを勝利に導いた元帥たちをたたえることは正当」だと発言。ペタン元主席は第2次世界大戦中に「大惨事を招く選択」をしたと強調しつつ、「偉大な兵士だったことは事実だ」と述べた。

 この発言は、数十年にわたりフランスを分断してきた苦痛に満ちた時代を思い起こさせるものとなり、ライバル政治家やユダヤ系指導者から激しい批判を招いた。

 フランス・ユダヤ系団体代表協議会(CRIF)のフランシス・カリファ(Francis Kalifat)代表は、ユダヤ人数千人を国外追放し、死に追いやることに加担した指導者を称賛するマクロン氏の発言に「驚いた」と語った。

 ペタン元主席をめぐっては、フランスに消すことのできない汚点を残したとの批判があり、歴代の同国指導者は元主席の複雑な業績を慎重に扱ってきた。

 一方、ペタン元主席は長年、第1次大戦における優れた戦略家としても評価され、特に1916年の「ベルダンの戦い(Battle of Verdun)」でドイツの進軍を阻止した功績を認められている。(c)AFP/Joseph Schmid