【10月31日 AFP】ロシア北西部ムルマンスク(Murmansk)近郊で30日、ロシア唯一の空母アドミラル・クズネツォフ(Admiral Kuznetsov)の改修作業中にクレーン1基が甲板に落下し、世界最大級の浮きドックが沈没する事故が起きた。現地の当局やメディアによるとこの事故で重体1人を含む4人が負傷、1人が行方不明となった。

 沈没したのは空母の改修に使われていた浮きドック「PD-50」。統一造船会社(United Shipbuilding Corporation)のアレクセイ・ラクマノフ(Alexei Rakhmanov)氏は国営タス通信(TASS)に対し、「船体と甲板が損傷したのは明らかだが、幸運にも(空母の機能に)重要な部分ではなかった」と述べた。

 連邦捜査委員会(Investigative Committee)は声明を発表し、事故原因について現場の「作業工程における違反行為」の可能性を指摘した。

 またラクマノフ氏は後にズベズダ・テレビ(TV Zvezda)に対し、事故の原因は突然の停電だったと明言。一方、国営電力会社ロセッティ(Rosseti)は「造船所への送電網は通常通りに稼働していた」と主張した。

 アドミラル・クズネツォフは2016年と2017年、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍による反体制派支配地域の奪還作戦を支援するため地中海に展開し、攻撃に参加。現在は1997年以来となる大規模な改修を行っており、2020年いっぱいまで作業が続けられた後、2021年に任務に復帰する予定となっている。

 2016年10月にアドミラル・クズネツォフがイギリス海峡(English Channel)経由でシリアに向け航行していた際、同艦から黒煙が上がっていたと各国メディアが報じている。(c)AFP