■大荒れの道のり

 2014年初め、仮想通貨は誕生以来最大の危機に直面した。一時はビットコイン取引の約80%を担っていたマウントゴックス(Mt. Gox)が、ハッキングの被害を受けたのだ。

 事件により急落したビットコインの価格は、2017年初めまで戻らなかった。

 しかし、ノワザ氏によると、この事件で一気に流れが変わったという。何かと物議をかもすビットコインではあったが、ブルームバーグ(Bloomberg)のデータによると、その価格は2017年末には1万9500ドル(約220万円)まで一気に上昇した。

 仮想通貨専門のウェブサイト「コインマーケットキャップ(Coinmarketcap)」によると、この時、ビットコインの時価総額は3000億ドル(約34兆円)を上回ったとされる。

 バブル崩壊前の2018年1月までに、仮想通貨全体の時価総額は8000億ドル(約90兆円)を超えた。

 仮想通貨のアナリスト、ボブ・マクダウォール(Bob McDowall)氏はAFPの取材に、仮想通貨のコンセプトは相当進化したが、これはひとえにビットコインの功績とも言えると述べ、これまでに約2000種類の仮想通貨が誕生したことにも触れた。「それは技術的、経済的なイノベーションを超えた。一部の人にとってはもはや宗教的でもある」

 仮想通貨ファンド、スイスボーグ(Swissborg)の共同創設者、アントニー・ルゾワミエ(Anthony Lesoismier)氏も、「実際の革命は哲学的レベルで起きている」とコメントしている。

 だが、経済学者のヌリエル・ルビーニ(Nouriel Roubini)氏は、仮想通貨が中央集権化されていないというのは神話にすぎないと指摘する。同氏は、「そのシステムは北朝鮮よりも中央集権化されている。マイニング(採掘)と取引所は中央集権化され、デベロッパーも中央集権化された独裁者たちだ」とツイッター(Twitter)に投稿したメッセージで持論を述べた。