【10月26日 AFP】2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)が直面しているあらゆる問題の中で、砂漠の国の大会主催者が対応を検討しなければならないもっとも新しい問題は降雨かもしれない。

 しかし、1年分に相当する大雨によって引き起こされた深刻な洪水は、その多くがW杯に向けて整備されているカタールのインフラ能力に関して再び疑問を提起した。

 1日で84ミリという降水量を記録した10月20日の異常気象により、道路は通行できない状態となり、トンネルや大学、学校、個人病院、大使館、新たに建てられた国立図書館は冠水、浸水の被害に遭った。さらに小売店は店を閉め、なかには数日間営業できない店舗もあった。

 カタールの年間平均降水量は77ミリで、10月の平均値はわずか1.1ミリとなっている。

 しかし、W杯スタジアムが竣工予定のドーハ郊外にあるエデュケーション・シティ(Education City)では、98ミリという驚くべき降水量を記録した。

 自治・環境省の「降水緊急委員会」はツイッター(Twitter)に、「2億8700万ガロン(約108万立方メートル)の雨水が取り除かれた」と投稿した。

 ソーシャルメディア上では、雨水が室内の階段を流れていく様子や、駐車されている車が水没同然となる光景、あるいは普段は車が通っている主要道路で人々がジェットスキーを行っている姿が確認できる。

 また、W杯の会場には指定されていないドーハ中心地にあるサッカースタジアムが、湖のようになっている写真も広く拡散されている。

 公共事業庁アシュガル(Ashghal)は、ツイッターに「ここ最近の大雨によって引き起こされた様々な影響を遺憾に思う」と記し、謝罪の気持ちを示した。

 今回の異常気象は、排水の問題を引き起こすカタールの地勢によって悪化した。

 仮に先週末と似た状況が22年のW杯で発生すれば、現在地下鉄網が建設中であるにもかかわらず、スタジアムまでの輸送上の理由によりすべての試合が遅延、あるいは延期になるかもしれない。

 W杯の試合会場の中で唯一完成しているハリーファ国際スタジアム(Khalifa International Stadium)は、今回の洪水でそこまでひどい影響は受けなかったと作業員はAFPに明かしている。

 大会主催者の引き渡し・遺産最高委員会(Supreme Committee for Delivery and Legacy)の広報は、「W杯が開催される予定の会場は、ほんの小さな混乱があっただけでおおむね影響がなかった」と述べた。

 しかし同氏は、今回の大雨により主催者が「改善が必要なエリアを確認」することができたと補足している。(c)AFP/David HARDING