【10月24日 AFP】(更新)日本政府は23日、シリアで3年以上前から過激派勢力の拘束下に置かれていたフリージャーナリストの安田純平(Jumpei Yasuda)さん(44)が解放されたとみられると発表した。

 2015年6月に拘束された安田さんは、今夏に過激派組織が公開した動画で、自身はひどい環境に置かれていると訴えていた。

 23日夜に記者会見した菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官によると、安田さんが解放されトルコ・アンタキヤ(Antakya)の入管施設にいるとの情報がカタール政府から入った。日本政府は、解放されたのは安田さん本人である可能性が高いとみて、情報の確認を進めているという。

 在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、安田さんはトルコ・カタール間の取り決めに基づいて解放された。また、複数の情報筋が、身代金が支払われたと話している。

 同監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、「安田さんは、拉致犯らからトルコと近い関係にあるシリア以外の軍隊に引き渡された後、解放された。安田さんはイドリブ(Idlib)県の西部で拘束されていた」と明かした。

 今年7月には、過激派グループが安田さんとイタリア人のアレッサンドロ・サンドリーニ(Alessandro Sandrini)さんを映した動画を公開。その中で2人は自らの解放を求めていた。ただ動画では、2人を拘束していた組織名や、組織側の具体的な要求内容については言及されていなかった。

 安田さんはシリア北部で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)傘下のアルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)に拘束されたと考えられている。アルヌスラ戦線はその後、アルカイダから分離し、現在では「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」を名乗っている。

 ただHTSは23日、安田さんの拘束には一切関与していないと主張。「日本人ジャーナリストの安田氏の拘束にわれわれが関与しているという指摘については否定する。同氏の解放は報道で聞いた」と表明した。(c)AFP