■水分をとらえる被膜

 マーク・グリンスタッフ(Mark Grinstaff)氏率いる米ボストン大学(Boston University)の研究チームはこの問題に対処するために、水分活性化分子の薄い高分子被膜を施した。この被膜は、ゴムのように水分をはじくのではなく、逆に水分をとらえる。

 論文によると、この被膜処理を施したコンドームは、素材のゴムには影響を与えずに「大量の水分や1000回に及ぶ繰り返し連結にさらされた場合でも一貫して低摩擦を実現」したという。

 今回の接触試験に参加したボランティアの被験者らは、長時間にわたり滑らかさを保つ「本質的に潤滑な」コンドームに対して好印象を示した。ただ、米食品医薬品局(FDA)の承認がまだ得られていないため、親水性ゴムを用いた性交渉時の試験はまだ実施されていない。

 それでも今回の研究では、被膜処理コンドームの使用を検討したいと答えた被験者が全体の9割以上、永続的に滑らかなコンドームが市販された場合は自身のコンドーム使用頻度が高くなる可能性が高いと答えた被験者も全体の半数以上に上った。(c)AFP