【10月16日 AFP】忙しかった一日の終わりにビール1杯(もしくは2杯)が欠かせないという人は、気をしっかり持って聞いてほしい。気候変動が原因で、お気に入り銘柄のビールがいっそう不足し、価格も高くなる日が間近に迫っている。

 15日に発表された研究論文によると、熱波と干ばつが深刻化している現在の傾向が続けば、大半のビールの主原料であるオオムギの収穫高の急減が今後、周期的に発生するという。

 論文の主執筆者で、英イーストアングリア大学(University of East Anglia)の关大博(Dabo Guan)教授(気候変動経済学)は「オオムギの世界供給量が減少するとそれに比例して、ビール原料用のオオムギはさらに大幅に減少する」と説明する。

 オオムギのうち大半は食品原料として使用される。ビール原料として使われるのは最高品質のもののみで、全体の20%足らずだ。

 关教授は、AFPの取材に「高品質のオオムギは、気候変動に関連する極端な気象現象の影響を受けやすい」と語った。

 关教授と国際研究チームが英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に発表した論文によると、極端気象現象の発生時には、世界のビール消費量が16%減る、すなわち300億リットル近く減少するという。これは米国の年間ビール消費量に匹敵する。またそうした破壊的な天候事象の後には、ビールの価格は平均2倍ほど高くなるという。

 ビールは世界でも群を抜いて多く消費されているアルコール飲料で、2017年の世界生産量は2000億リットル近くに上っている。