記者もこの水族館を訪れてみた。動物の展示されている水槽は狭く、ワニは後ろも振り返れず、身動きもできないような状態。まさに東さんの言っていた通りだった。

 カメについても、手足を伸ばせないほどの円形の水槽に展示され、張り出された紙には「カメの頭に硬貨が命中すれば幸運をもたらし、背中に当たれば長寿になり、しっぽに当たれば子どもに恵まれる」と来場客に公然と硬貨の投下を奨励していた。

 2人の子どもを連れた80代の保護者は、「250元(約4000円)も払って家族と一緒に観に来たのに、一般的な水族館には程遠く、小さな区画を少し歩いただけで見終わる程度のものだった。金を騙し取られたよ」とかなり怒っていた。

 小学生は、「汚水だけとか、照明がただカラフルに光ってるだけの水槽もあった。中にいる魚も動いてなくてつまらなかった」と話す。

■水族館側「魚が死ぬのは普通なこと」

記者は、運営者側の白氏に取材を試みると、白氏は、「今回の展示で使用している生き物はすべて許可を得たもので、合法的な展示である」と前置きした。続いて、水槽内で死んでいる魚が多いことに言及すると、白氏は「どこに魚の死骸があったのですか?」。

 まさにその時だった。水槽を見ていた来場客の子どもが、「この魚、死んでる!ひっくり返ってるよ!」と大声で叫んだ。すると、白氏は手のひらを返すようにして「魚が死ぬのは正常な現象ではないのですか? 死なない魚なんているのですか?」と言い換えた。

 また、東さんが指摘していたカメに硬貨を投げる行為については、「現在、ほかの観光地でも、池や寺などでどこでも硬貨を投げる観光客は多いし、道理にかなってないことはない」と答えた。

 運営側は、ただ「子どもたちを楽しませる」ためだけにやっているというのが白氏の見解のようだ。

 浙江自然博物館魚類学専門家の袁楽洋(Yuan Leyang)博士によると、このショッピングモール水族館は臨時の展示で、設備の導入が間に合っていなかったのかもしれないという。

 袁博士はまた、環境保護意識や野生動物の保護意識が高まりつつあるなかで、水族館もより人道的に野生動物を扱っていくことを模索し始めていると指摘する。

「動物ショーのようなブログラムは減少し、中止した水族館も多い。カメに硬貨を投げるよう観光客を勧誘したり奨励したりすることは絶対に間違っている」(c)東方新報/AFPBB News