■法的に曖昧

 これ以降、全米の警察では、同様の手法を用いて迷宮入りしている事件の解決に乗り出している。詳細不明のDNAサンプル200件を分析した米企業「パラボン・ナノラボ(Parabon NanoLabs)」によると、5か月間で身柄を拘束された容疑者の数は13人に上っているという。

 同社で生物情報学の責任者を務めるエレン・マクレー・グレイタック(Ellen McRae Greytak)氏は、GEDMatchのデータと「合致」し、追跡すべきとされたサンプルは全体の60%に上ったと説明している。

 今回発表された論文によると、研究チームはMyHeritageのデータベースにある128万人のDNAデータを分析した。MyHeritageでは、唾液を使ったDNAの分析を有料で提供している。同様のサービスは「AncestryDNA」や「23andMe」などでも提供されているが、今のところ、これらサービスの利用者は白人がその大半を占めるという。MyHeritageの料金は79~99ドル(約8800~1万1000円)だ。

 今回の研究では、欧州に祖先を持つ米国人の約60%が「みいとこ」やそれより近縁の人との「合致」があることが分かった。すなわち、米全人口のわずか2%のサンプルで、対象となる全員が特定できることになる。