【10月13日 東方新報】今年の新学期、学費支払いシステムに不具合が生じなかったら、中国・武昌工学院(Wuchang Institute of Technology)4年生の袁松齢さんは、自身の学費を3年間援助していたのが同級生の李秋雨さんだったと知ることはなかっただろう。

■言葉が出ない対面の時…匿名の支援者突然姿を現す

 武漢市(Wuhan)武昌工学院会計学部の事務所で9月20日午前、袁さんは初めて、3年間学費を援助し続けてきた李さんと顔を合わせた。袁さんは2年来、心の中で「ありがとう」を何回言ったか分からない。

 実際に恩人を前にしたとき、胸が詰まってしまい、何も言葉は出てこない。李さんは、ただ黙ってうなだれている袁さんの手を取り、柔らかい声で「何も言わなくていいわ」といい、手と手をつなぎ合って久しく放さなかった。

 2人が顔を合わせることになったのは、意外なきっかけによる。

 これまで、袁さんへの援助の支払いは、李さんが学校の補導員から袁さんの学費支払い専用口座番号を聞き、学校のインターネット支払システム上で学費を支払って来た。

 ところが今年、学校のシステムがバージョンアップしたことで、袁さん専用の口座は使えなくなっていた。李さんは何日も試みたが、うまくいかない。学費の送金が遅れれば袁さんに心配をかけるので、補導員に現金を手渡してもらうよう頼んだ。

 だが、補導員は金額が大きいことを理由に受けてくれない。李さんはやむなく、ウィーチャットで袁さんのアカウントに学費を送金した。こうして袁さんは、長年援助をしてくれていた恩人が、実は同じ専攻で同じ学年の別クラスの李さんだったことをようやく知るに至った。