【10月4日 AFP】今後10年以内に月と火星の探査を再開する米航空宇宙局(NASA)の計画を受け、米防衛・航空大手のロッキード・マーチン(Lockheed Martin)は3日、月面に着陸可能な宇宙船の構想を発表した。

 NASAは将来の火星探査に向けた初期段階として、1972年以来となる宇宙飛行士を月に送り込む計画を表明している。この計画は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の公式政策にも盛り込まれている。

 この目標を達成するため、NASAは航空宇宙分野の製造業各社に対し、月を周回する「ルナー・ゲートウェイ(Lunar Gateway)」と呼ばれる宇宙ステーションおよび月面に着陸する宇宙船の建造案を提示するよう要請していた。

 8月に公表されたNASAの予定表によると、月周回ステーションについては他国の協力を得て2020年代に組み立てを行い、2026年までに4人が滞在できるようになるという。

 ロッキード・マーチンの構想は、ドイツ・ブレーメン(Bremen)で開催の第69回国際宇宙会議(IAC)で発表された。これによると、月着陸船は、月を周回するルナー・ゲートウェイと月面との間を往復するように設計されている。

 定員4人の宇宙船は重量1トンの機材を輸送でき、燃料補給なしで最大2週間の月面滞在と月周回ステーションへの帰還が可能だという。4本の支脚柱を持つこの宇宙船は一見すると、1969年に月面を歩行した初の米宇宙飛行士らが使用した着陸船のより背が高いタイプのように見える。

 この計画に先立ち、NASAは2023年にロッキード・マーチンのカプセル型有人宇宙船「オリオン(Orion)」で宇宙飛行士らを8日間の月周回飛行に送り出すことを目指している。オリオン宇宙船はNASAの大出力ロケット「スペース・ローンチ・システム(Space Launch SystemSLS)」に搭載されて宇宙空間に送り込まれる予定。現在はまだ開発段階にあるSLSは、これまで製造された中で最大の出力を持つよう設計されたロケットとなっている。

 またこれとは別に、米民間宇宙開発ベンチャーのスペースX(SpaceX)も、同社初となる月周回観光宇宙船を2023年に自社開発のビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)に搭載して打ち上げる計画を立てている。日本人億万長者の前澤友作(Yusaku Maezawa)氏が初の乗客となる予定で、前澤氏はアーティスト6~8人を同乗者として招く意向を示している。(c)AFP