【10月2日 AFP】(写真追加)フランスの伝説的なシャンソン歌手、シャルル・アズナブール(Charles Aznavour)さんが南仏アルピーユ(Alpilles)の自宅で亡くなった。94歳。広報担当者が1日、AFPに明らかにした。

 先月には日本で公演したばかりだった。

 アズナブールさんは1924年、アルメニア系移民の子としてパリに生まれた。第2次世界大戦(World War II)後、人気上昇中だった仏女性歌手、エディット・ピアフ(Edith Piaf)の前座を務めるという幸運に恵まれた。ピアフの米国訪問には彼女のマネジャー兼ソングライターとして同行し、その間自身の歌の練習にも励んだ。

 代表作は「希望に満ちて(Je M'voyais Deja)」、映画『ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)』の主題歌にもなった「忘れじの面影(She)」など。映画にも出演し、1960年公開のフランソワ・トリュフォー(Francois Truffaut)監督の『ピアニストを撃て(Shoot the Piano Player)』では主役を演じて国際的な名声を得た。

 英語圏では「フランスのフランク・シナトラ(Frank Sinatra)」と称されることも多い。だがアズナブールさんは自分で曲を書き、結婚や同性愛、あるいは男性が自身の感情について語ることにまつわるタブーを破っている点で、米歌手のシナトラさんとは異なっている。

 古くからの友人、仏俳優アラン・ドロン(Alain Delon)さんはAFPに、アズナブールさんは「眠っている間に亡くなった」と述べた上で「私はあの男が大好きだった。(精神的に)ぼろぼろだ」と悼んだ。

 アズナブールさんは今年に入り転倒して腕を骨折。その後複数のコンサートが中止となっていた。

 だがアズナブールさんは先月28日にもフランスのテレビ番組に出演。スウェーデン出身の妻からは止められるが、自身はステージの上で死ぬのが本望だと語っていた。

 アズナブールさんは今月も再びツアーを行う予定だった。(c)AFP/Fiachra GIBBONS