【9月28日 AFP】犯罪組織や武装グループにとって、自然環境からの向こう見ずな搾取は今や、薬物の不正取引に代わる最大の収入源となっている。国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)が26日に発表した報告書の中で、明らかにした。

「違法資金の流れの世界地図(World Atlas of Illicit Flows)」と題された報告書によると、象牙の不正取引、金の採掘、自然資源に対する違法な「税金」やその他の環境犯罪が、戦闘集団や武装グループの活動資金源の38%を構成しているという。

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などの集団がメディアをにぎわせている一方、世界の紛争地帯で毎年生み出される違法資金315億ドル(約3兆5700億円)のうち、こうした集団の資金は全体の4%にすぎず、残りは犯罪組織に流れていると、報告書は続けている。

 インターポールがノルウェーのリスク分析センター「RHIPTO」と国際組織犯罪対策会議(Global Initiative Against Transnational Organized Crime)と協力してまとめた今回の報告書は、犯罪組織が用いる不正取引ルートに関する初の包括的な概観報告書だとうたわれている。

 報告書には、石油、金、ダイヤモンドから薬物、人身、象牙までのあらゆるものの違法売買に用いられる約1000に及ぶ取引経路の詳細な地図が示されている。

 違法採掘は、武装グループの資金源の約17%を構成する。違法採掘の対象となる鉱物としては、コンゴ民主共和国東部の金やラテンアメリカのコルタン(携帯電話に用いられる希少鉱物)などがある。

 また犯罪組織は、密猟されたアフリカゾウの牙や、伝統薬の材料としてアジアに販売されるサイの角などの高額取引に関与している。だが、これらの販売による売上1億6500万ドル(約187億円)は、犯罪組織の総収入のごくわずかな部分を構成するにすぎないと、報告書は強調している。

 報告書によると、薬物の密売は依然として「環境犯罪」に次いで2番目に大きな資金源となっており、総収入の28%を構成するという。民間人への違法な「税金」の取り立てや略奪、恐喝などが総収入の26%を構成する。それに対し、寄付金および営利誘拐はそれぞれ総収入の3%を構成するにすぎない。

 政府は今後、組織犯罪との戦いを、紛争終結の助けになる可能性のある主要因の一つとみなす必要があると、RHIPTOセンターのクリスチャン・ネルマン(Christian Nellemann)代表は指摘する。

「犯罪集団は多くの場合、その一部は政界の要人と密接な関係にあるが、自然資源と取引ルートに対する自らの支配を確保するため、武力闘争を再発、継続させることで、既得権益を守ろうとしている可能性がある」と、ネルマン代表は説明した。(c)AFP/Michel MOUTOT