【9月24日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は23日、同国の最貧層5億人を対象に、保険料無料の世界最大の健康保険制度、通称「モディケア」を始動させた。来年に総選挙を控えての導入となった。

 今年に入り連邦予算で発表されたこの制度は、インドの人口12億5000万人のうち、最貧の40%が対象となる。

 最低所得の1億世帯には、重病の治療を受ける際の医療費として、インドでは大金とみなされる年間50万ルピー(約78万円)が支給される。

 モディ首相は同国東部ジャルカンド(Jharkhand)州の州都ランチー(Ranchi)で開かれた制度導入の記念式典で医療カードの手渡しを行い、インドにとって歴史的な日だと強調した。

 制度の運用にあたり、中央政府と29州政府の負担総額は年間約1800億円になる見通し。予算は需要に応じて段階的に増額される。

 過重負担がのしかかる公的医療制度では、施設と医師が慢性的に不足しており、大半の人は金銭的余裕さえあれば民間医療機関を利用している。ただ診察料は1000ルピー(約1560円)で、1日の生活費が250円に満たない数百万人にとっては高額だ。

 政府の推算によると、平均世帯支出の60%以上が薬代や治療費に充てられており、最貧家庭の多くは医療サービスを一切利用していない。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に今月掲載された報告書によると、インドで低水準の医療に起因する死者数は推計で年間160万人に上るとされ、世界最多となっている。(c)AFP