【9月22日 AFP】五輪史上最多となる合計23個の金メダルを獲得した元競泳のマイケル・フェルプス(Michael Phelps)氏は21日、世界反ドーピング機関(WADA)が薬物検査の不正操作に手を染めたロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止処分を解除して物議を醸していることを受け、スポーツ界における薬物との闘いには新たなリーダーシップが必要であると訴えた。

 競泳界の伝説であるフェルプス氏は、WADAがRUSADAの資格停止処分を3年ぶりに解除し、ロシアのアスリートが競技大会に復帰する道を切り開いたことについて、「悲しい」ことだと述べた。

 香港で開催されているイベントに出席したフェルプス氏は報道陣に対して、「組織が全面的に責務を果たし、改革の先頭に立てるのはいつになるのだろうか? 今の状態はスポーツとはいえない」、「体内に運動能力向上剤を取り込み、持久力を上げてパフォーマンスするのはスポーツではない」と強調した。

 2014年のソチ冬季五輪をピークに、ロシアが薬物検査で大規模な隠蔽(いんぺい)を行っていたことが2015年11月に発覚した後、WADAはRUSADAに資格停止処分を科した。しかし、WADAの理事会は、厳しい規定を設けている世界ドーピング防止規程(WADA Code)にRUSADAが準拠しているとして、前モスクワ研究所のデータと検体をWADAに提出するという条件つきで、同機関への処分を解除した。

 2004年、08年、12年、16年に五輪で数々のメダルを手にしたフェルプス氏は、「こんな状況を見るのは悲しい」、「これまで自分は不正を訴え、証言もしてきた。それなのに、何も変わっていない。だから、こんな状況になってしまったのだろうし、次はどうしたらいい? 他に何ができるというのだろうか?」、「誰かが先頭に立つ必要がある。WADAが本当に何もしないのであれば、誰かがやらなければ」と述べた。(c)AFP