【9月15日 AFP】インドと中国に挟まれたヒマラヤの小国ブータンで15日、今回で3度目となる国民議会選挙の第1回投票が実施された。得票数の多い上位2党による第2回投票は来月18日に行われる。

 米ハーバード大学(Harvard University)出身の現職ツェリン・トブゲイ(Tshering Tobgay)首相(52)は続投を目指すものの、同氏率いる国民民主党(PDP)は、2008年に行われた同国初の国民議会選挙で勝利した野党の調和党(DPT)他2党からの手ごわい挑戦を受けている。

 スイスほどの国土面積に80万人の人口を擁するブータンでは、1999年にテレビ放送が開始。国王の絶対的な権力が移譲された2008年にようやく民主制が導入された。

 世論調査は禁じられ、国内にはごく限られた数のアナリストしかいない中、AFPの取材に応じた専門家は、経済成長が堅調で失業率も低く、与党のPDPは経済のかじ取りに長けていると指摘した。

 ブータンは、近代化のマイナス面から国を守るため、「国民総幸福量(GNH)」を追求し、二酸化炭素吸収量が排出量を上回る「カーボンネガティブ」を実現。また外国人旅行者数を抑制するため1日250ドル(約2万8000円)の公定料金を設けている。

 その反面で同国は、汚職問題や地方の貧困および若者の失業率の高さ、犯罪組織の伸張なども課題として抱えている。(c)AFP