「資金集めのプロセスは完全に公開されることは無いと分かっているし、裏帳簿もあることも知っているが、資金集めの呼びかけがあれば毎回、迷うことなく協力している」

「裏帳簿は避けられない。応援のために出資された金を完全に公開することはありえない」と小敏さんは言う。「というのも、一部のお金は営業用の工作に使われ、新聞や雑誌やセルフメディア等の宣伝に投入する部分は、競争相手に内情を知られぬよう公開できない部分。たとえ裏帳簿があったとしても、大部分のお金が使われるべきところに使われ、金額が大きくなければ誰も気にはしない」

 現在、ファングループによる資金集めは常態化しており、資金管理の問題が新聞紙上をにぎわすようになった。7月には、有名テレビ番組である「創造101」のファンが応援資金を募る中で、ファンリーダーの一人が金を私的に流用し豪邸を買ったという問題で捜査が行われているというニュースが報道された。

 小敏さんは、自分はまだ幸運だという。ファングループに加入してから4年間で、誰かに金を持ち逃げされたことは一度も無いからだ。応援資金を募集する際の不正についてはむしろ寛容的で、「グループリーダーには発言力と影響力がある。応援資金の発起人としても必要な存在。追い出してしまったらファングループはまとまらない」という。

 ファングループが集めた資金のグレーゾーンについて、ファンが追及しさえしなければが誰も管理する必要がないのだろうか?

 北京市同創弁護士事務所の袁韶光(Yuan Shaoguang)弁護士は、「応援資金の発起人は資金集めという行為の真実性と合法性、集めた資金の使用状況について責任を負わねばならない。もし発起人が不法に横領することを目的とし、事実を隠して資金を集めた場合、詐欺などの刑事犯罪となる可能性がある」と語る。

 最終的に、小敏さんが属するファングループは5000個のライトボードを購入した。「ライトボードだけでは不足で、ボードを掲げる人手が必要だ」と言う。後援会は、事前にそれぞれの担当する応援エリアを割り当て、会場に来る人数を確定し、入場券を購入する。小敏さんが提供した「コンサート応援エリア分配図」は、3万2000人の座席配置は異なる色で塗り分けられていた。

 五つの後援会のファンらが入場券を予約・購入し、小敏さんのファングループは約5000人が会場に入り応援する予定だ。(c)東方新報/AFPBB News