【9月11日 AFP】9日に行われた世界ロードレース選手権(WGP 2018)第13戦サンマリノGPのMoto2クラス決勝で、時速200キロの猛スピードで走行中にライバルが乗っていたバイクのブレーキを握るという「衝動的」な行為に及んだロマーノ・フェナティ(Romano Fenati、イタリア)が10日、「恥ずべき振る舞い」だったとして謝罪した。

 22歳のフェナティは、スッター(Suter)のステファノ・マンシィ(Stefano Manzi、イタリア)に対する危険行為で2レースの出場停止処分を受け、刑事訴追の可能性に直面しているほか、所属チームのマリネッリ・スナイパーズ・チーム(Marinelli Snipers Team)から契約を解除された。

 ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(Misano World Circuit Marco Simoncelli)でのレースで、カレックス(Kalex)のバイクを駆っていたフェナティは、マンシィと競い合っていた際に、バイクを傾けながら相手のブレーキレバーを握った。マンシィはバランスを崩しかけたものの、コントロールを回復。この数周前には、マンシィがフェナティを抜こうとして接触し、両者とも大きくコースアウトする場面があった。

 フェナティはコメント文を発表し、「スポーツ界に謝罪する。けさ正気に戻り、これは悪い夢だったらと願っている」、「恥ずべき振る舞いをしてしまった。僕は男らしくなかった。男ならレースを終えてからレースディレクションを訪れ、前述の出来事に関して何らかの裁きを受けようとしているはず」、「挑発に反応すべきではなかった。自分とスポーツ界に最悪のイメージを植えつけてしまった。あれは本当の僕ではない。知人ならそれを分かっている!」と悔やんだ。

「これまでのキャリアにおいて、僕はずっとフェアなライダーだった。昨年もペナルティーを受けなかった数少ない一人だった。人の命を危険にさらすようなことは一度もなかったし、逆に危険な走行スタイルを持っているライダーがいると訴えてきた」

「残念ながら、確かに自分には衝動的なところがある。だけど、自分と同じライダーを傷つける意図は絶対になかった。むしろ、彼のやっていることは危険だと分からせようとしていたんだ。彼が僕に行ったのと同じようなことをするという方法でね。とにかく、皆さんに謝りたい。これから時間をかけて反省し、頭をクリアにしていく」

 フェナティは来季、イタリアの製造メーカーであるMVアグスタ(MV Agusta)と提携することになっているフォワード・レーシング(Forward Racing)からレースに参戦する予定だったが、そのシートも失った。

 フォワード・レーシングのジョバンニ・クザリ(Giovanni Cuzari)オーナーは、「われわれのスポーツは、すでに極めて危険なものであり、ライダーのリスクを高めるいかなる行為も容認できない」とすると、「われわれの未来のライダーの一人から、このような振る舞いは決して許されない」と述べた。

 今季のMoto2ドライバーズランキングでは14ポイントを獲得して19位につけていたフェナティは、Moto3時代の2015年にもアルゼンチンGPのウオーミングアップ走行中に、フィンランド人ライダーのニクラス・アジョ(Niklas Ajo)を蹴るという騒ぎを起こした。

 さらにバイク界のスター、バレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)が所有するスカイ・レーシングチームVR46(Sky Racing Team VR46)に所属した2016年には、規律違反でチームから追放されている。(c)AFP/Emmeline MOORE