【9月11日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)の女子シングルス決勝で、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)がカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審に「うそつきの盗人」と暴言を吐くなどした問題に関して、国際テニス連盟(ITF)は同審判の振る舞いについて「プロフェッショナルかつ高潔」なものだったと称賛する姿勢を示した。

 大坂なおみ(Naomi Osaka)に2-6、4-6でまさかの敗戦を喫した8日の決勝で、四大大会(グランドスラム)通算23勝を誇るセレーナは試合中のコーチング、ラケットの破壊、そしてラモス主審に浴びせた暴言によって、計3度にわたりコードバイオレーションを取られた。

 2度目と3度目の警告では、セレーナにそれぞれポイント・ペナルティーとゲーム・ペナルティーが科され、これによって第2セットを5-3とリードした大坂がタイトルをほぼ手中に収めた。ラモス主審に激高して謝罪を要求したセレーナは、自身へのペナルティーは「性差別」なものであると主張。同様の態度を取っても男子ならば許されているとして、女子の権利のために闘ったと強調した。

 女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は、元世界ランク1位のセレーナが示した断固とした振る舞いを擁護しており、女子テニスの伝説的選手であるビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)氏も、最初に同選手の怒りに火をつけたコーチングに関するペナルティーに疑問を呈していた。

 しかし、テニスの国際統括団体であるITFは、これらの物議に対する回答として、ラモス主審は自身の権限が及ぶ範囲内でペナルティーを下したという見解を示し、「カルロス・ラモス氏は、テニス界において最も経験豊富で尊敬に値する審判である。セレーナ・ウィリアムスが犯した3件の違反について、ラモス氏は関連規則に従って決断を下し、それは全米テニス協会(USTA)が同選手に罰金を科したことによって再確認された」とのコメント文を発表した。

「このように注目度が高い上に残念な出来事が、当然のごとく論議を巻き起すことは理解できる。同時に重要なのは、ラモス氏が関連するルールブックに従って審判の職務を遂行し、常にプロフェッショナルかつ高潔に行動していた事実を念頭に置くことである」

 今回の衝撃的な出来事について、1987年の全米オープンでジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏から暴言を浴びてゲーム・ペナルティーを科したことで知られる元審判のリチャード・イングス(Richard Ings)氏も、BBCラジオ4(BBC Radio 4)の番組で「カルロス・ラモス氏は、40年の経歴を持つ審判だ」と同主審の対応を支持する姿勢を示した。

「彼はまさに完璧に試合を裁いた。違反を目撃した彼は、信念に従って自分が見たことに対してコールした。私は彼を110パーセント支持する。ここ数年見た中では、最も職務に準じた仕事の一つだった」

 マーガレット・コート(Margaret Court)氏に並ぶ史上最多24回目のグランドスラム優勝を目指していたセレーナは、試合終了後にラモス主審との握手を拒否。USTAから科された罰金1万7000ドル(約189万円)は、準優勝の賞金から差し引かれることになっている。(c)AFP