【9月16日 東方新報】テーブルの上に置かれた、小ぎれいな木製の小さな家。その小さな家の中には、花のつぼみが添えられている。一見すると、精巧な芸術品のようにも見える。

「小動物の小さな墓碑や棺おけを作る人」

 ペット葬祭業を経営する女性、呉彤(Wu Tong)さんの自己紹介だ。2015年にを起業してから現在まで、小動物2416匹の葬儀に携わってきた。呉さんはいつでも、この世を去った動物たちから温かさをもらい、死の尊さを教えられるという。

小さな骨箱は、呉さんがデザイン、制作している。運営する骨箱販売のオンラインショップには、約1万5000人のフォロワーがいる。

 骨箱の「小さな住民たち」のために、一つ一つに番号が刻まれている。そうした物語を、呉さんは微信(ウィーチャット、WeChat)公式アカウントから配信している。小さな住民たちの番号は、「2146」を数えた。多くのフォロワーたちにとっては、この「2146」という数字は、命を亡くした数字でもあるが、すべてが温かい思い出だ。

■ずっとそばにいられる、温かい気持ちになれるものを

 きっかけは、飼っていた犬「小Q」の死だった。

「小Qとコミュニケーションを取れなくなってしまったけれど、もしかしたら、小Qも最も愛する人のそばにいたいと望んでいるかもしれない」

 小Qを戸外に埋葬することを望んでいなかった呉さんは、インターネットでペットの納骨サービスなどを調べたが、当時の中国国内のサービスには不満が多かった。市場で主流だった、納骨するための骨箱は白黒のデザインばかりで、むしろ感情を抑えられず、より深い悲しみにさいなまれると感じた。

 むしろ、小Qが生きた証を記憶してもらえるような、「家」が欲しかったという。