■アルゴリズムで性格や嗜好の合う学生を選抜

 アンケートで得られた大量のデータにより、感覚的な認識を量的な数値へと変換し、今年の推薦算法のコアとする。

 南京大学では、潜在変数モデルによる推薦算法を用いて統計データに数値化処理を行い、それを基に部屋の分配を行う。

「00後」と呼ばれる2000年以降に生まれた世代は趣味の範囲が広く分散しており、旧来の分析手法では新入生間の趣味や性格の近似度を数値化しづらい。

 その場合は潜在変数モデルによる推薦算法を使えば、解決案を見出せるという。音楽アプリで使われる推薦算法でも、潜在的特徴によって好きな音楽を探し出すことができる。

■グループ化は多様性を育む妨げにならないか

 南京大学のビッグデータを活用した寮生の分配は、広く注目を集めている。「旧来のやり方を打破した人間的な措置だ」と賛同する声もある一方で、性格が似通った仲良しだけが集まれば、人間の多様性を育む妨げとなるとし、異なる人間と付き合う能力が弱まるのではないかと心配する声もある。

 同大の郭さんによると、「部屋の配分は、単純に遅く寝る人を一緒にするとか、同郷の人だけを集めるとか、単一の要素だけを見るのではない。休息の習慣や趣味、消費レベルなどを総合的に評価する。差の大きすぎる学生は初めから分けて、未然に摩擦を回避することが主旨だ」という。

「特に新入生は目をかける必要がある。両親のもとを離れて大学に来て、適応するまでには時間がかかる。学生に寄り添うことで、大学を信頼できるようになってほしい」

 2017年にあるメディアが中国全土の大学生958人を対象に調査を行ったところ、42.28%の学生は寮友と衝突したことがあると答えた。衝突した際の対応は、47.81%の学生が「前向きに話し合う」ことを選び、28.29%は「部屋替え」も考えたことがあるという。衝突の主な原因は、「生活習慣の違い」「口のきき方」「性格や趣味の違い」などだった。

 上海交通大学(Shanghai Jiaotong University)は、14年入学の本科生から趣味や嗜好による部屋割りを始めた。温州大学(Wenzhou University)は13年から、オンラインでの部屋選択システムを採用している。(c)CNS/JCM/AFPBB News