■半世紀前の名残

 しばらくすると、ビートルズとマハリシ師との関係は悪化した。気まずい雰囲気が生じたのは、マハリシ師の性的な誘惑に関する噂や、彼が有名なこの新弟子たちを使って金儲けしようとする意図があからさまだったためだった。

 それでもなお、ビートルズはリシケシュの地を欧米人の間で有名にし、瞑想とアジアの精神世界を世に広めた。マハリシ師は1975年に米誌タイム(Time)の表紙を飾りもした。

 2016年、僧院への小道が開かれ、フェンスが立ち、建物の一部が修繕された。廃虚のままではあるが、いくつか新しい壁画も加えられた。現在、僧院の入場料は外国人が600ルピー(約950円)、インド人は150ルピー(約240円)。内部には喫茶店や小さな写真展示コーナー、いくつかの案内板などがある。

 僧院の整備を手伝ったラジャスタン野生動物保護区(Rajasthan Tiger Reserve)の管理人、ラジュ・ノーティヤル(Raju Nautiyal)氏は、最近の訪問者の一人は他でもないプルーデンスだったと語った。「僕はいつも、ディア・プルーデンスを歌っていた。するとある日、プルーデンスが遊びにやって来たんだよ」 (c)AFP/Simon STURDEE