【8月25日 AFP】イタリア政府は、同国南部シチリア(Sicily)島で沿岸警備隊の船に乗せられたまま港で足止めされている移民150人について、他の欧州連合(EU)加盟国が受け入れを分担しなければ、EUへの拠出金を減額すると警告した。移民をめぐる同国とEUとの論争が再燃した形だ。

 移民らは20日夜、シチリア島のカターニア(Catania)にある港に到着したが、EUが一部の受け入れを約束しなければ上陸を認めないとのイタリア政府の姿勢により、同国沿岸警備隊の巡視船「ディチョッティ(Diciotti)」の船上で足止めされている。

 EUに加盟する十数か国は24日、ベルギーのブリュッセルで高官レベルの会合を開催。当局者らによれば、各国は海上で救助された移民の上陸に関する幅広い問題を話し合ったが、同船上の移民について直接の解決策は見いだせなかった。

 ポピュリスト政党「五つ星運動(M5S)」を率いるルイジ・ディマイオ(Luigi Di Maio)伊副首相は24日、フェイスブック(Facebook)の自身のページに「欧州連合はまたもや、イタリアに背を向ける決定をした」と投稿。同国は「埋め合わせの措置を一方的なやり方で講じる」ほかないと主張し、「欧州連合に支払っている拠出金を削減する用意がある」と述べた。

 EUの規則によれば、欧州に逃れてきた移民は到着した国で亡命申請しなければならないが、イタリアでは新政権発足以降、移民を乗せた船が港での停泊を阻まれる事例が増えている。

 EU側はディマイオ氏の投稿に対し、「EUはルールでできた共同体であり、脅しではなくルールに基づき機能する」と反論した。(c)AFP/Terry DALEY