【8月24日 AFP】スウェーデン政府は23日、重要政策としている「フェミニズムに基づいた外交政策」について、人権団体や諸外国の政府へ向けたマニュアルを発表した。女性の権利向上を国際的に促進するスウェーデンの取り組みから得られた教訓を紹介する内容となっている。

「フェミニスト外交マニュアル」は、9月9日のスウェーデン総選挙を前に、政府の公式ウェブサイトに英語で掲載された。スウェーデン政府は過去4年にわたって取り組むべき国際課題の中心にジェンダーの平等を据えており、このマニュアルはその経験の中から生まれたものだ。

 マニュアルでは、スウェーデンのフェミニスト外交について「世界中の無数の女性たち、少女たちの日常生活が、いまだ差別と制度的な従属関係に特徴付けられていることを踏まえて」始まった取り組みだと説明。ジェンダー(社会的性別)の平等は「それ自体が目標」であると同時に、平和や安全保障、持続可能な開発など、より一般的な政治目標を達成する上でも「不可欠」だと述べている。

 スウェーデンは2014年にフェミニスト外交を打ち出して以来、女性のマーゴット・バルストロム(Margot Wallstrom)外相が中心となり、女性の経済的解放や政治参加の促進、性暴力との闘いなどを目標に取り組みを進めている。

 首都ストックホルムで記者会見したバルストロム外相は、「当初は失笑されるなど複雑な反応があったし、あからさまな抵抗にも遭った」と発言。「『そんなのは、ただのきれいごとだ』といった声は常に耳にしてきた。だからこそ(マニュアルが)重要なのだ」と語った。

 バルストロム外相によると、外交政策に「フェミニスト」という言葉を取り入れた点については、「やや挑発的な」意図があったという。「フェミニストという言葉を使うことを否定的にとらえる国もある。だが、この言葉が何を意味するかということ、つまり、社会の中で男女が同じ権利、同じ機会を享受し、同じ義務を負うということを、わが国は示してこられたと思う」と同外相は話した。

 バルストロム外相は昨年、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」に加わり、「政界の最高レベル」でのセクハラ体験を明かしている。

 スウェーデンの外交部門では女性の影響力が飛躍的に増しており、各国駐在大使に女性が占める割合は1996年のわずか10%から、2016年には40%まで増加した。(c)AFP/Ilgin KARLIDAG