■ネットワークの復活

 ロシア外交において、アフリカの優先順位は最も低いものとなっているが、それでも最近は「重要性を増し始めている」と、ロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)のドミトリー・ボンダレンコ(Dmitry Bondarenko)氏は指摘する。「2014年のクリミア併合によりロシアは西側と対立し、再び世界の大国となる野望を隠さなくなった。そうした過程において、アフリカを無視できなくなっている」

 ボンダレンコ氏によると、ロシアの関心は経済的利益よりも「政治的発展」にあるという。

 旧体制時代、ロシアは西側とのイデオロギー戦争の一環で、アフリカで非常に強い存在感を示していた。アフリカの解放運動を支援し、植民地支配が終わった国に対して、何万人ものアドバイザーを送り込んでいた。

 だが、旧体制が崩壊した後は、経済問題と内部対立を抱えることとなり、ロシア政府は1990年代に一旦、アフリカでのプロジェクトを断念した。

 しかし、10年ほど前からロシアは古いネットワークを再構築し、徐々にアフリカ大陸に戻り始めた。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はまず、それまでも親密な関係にあったアルジェリア、南アフリカ、モロッコ、エジプトを訪問した。その後、1期だけ大統領を務めたドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)氏は、400人の経済視察団と共にアンゴラ、ナミビア、ナイジェリアを訪問し、ロシア企業を売り込んだ。

 そして今年、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相はアフリカ5か国を歴訪し、プーチン大統領も南アフリカ・ヨハネスブルクでの新興5か国(BRICS)首脳会議に出席した。また、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)で開催された国際経済フォーラムでは、アフリカでの事業を紹介した。