■人気アップのカギは「子供」と「競争の多様化」

 アジアと一部の欧州の国では人気があるものの、基本的にはマイナースポーツという印象のあるバドミントンだが、ルンド氏によれば、競技は「いろいろな面でスポーツとして成長している」という。実際、連盟は世界的な大銀行のHSBCなどを新スポンサーに迎え、賞金も増額された。審判にも、史上初めてセミプロとして活動できる人が出てきた。

 その中でBWFが最も重視しているのが、ファン候補、選手候補となる子供たちに興味を持ってもらうことだ。BWFはそれをバドミントンの人気を高め、金の卵を見つけ出す起爆剤にしたいと考えている。「どうやってラケットを手に取ってもらい、それを握り続けてもらうか」と話すルンド氏。そのために、連盟は132の国でバドミントン教室を展開している。

 今のところ、バドミントンが世界中でサッカーと人気を二分する日が来ることは想像しづらい。しかしBWFは、バドミントンには大きな伸びしろが残されていると信じている。

 バドミントン界はかつて、2012年のロンドン五輪で中国が全5種目を制覇するなど同国の一強体制だったが、そうした時代は過去のものとなり、今大会は男子と混合のダブルスで2個の金を獲得するにとどまった。一方で日本は、桃田賢斗(Kento Momota)が優勝した男子シングルスと女子ダブルスで金メダルを獲得した。

 中国の力に陰りが見えることは、バドミントンの人気アップにはむしろ好材料となる可能性がある。一つの国が金メダルを総なめにするところを見たいファンは多くないからだ。しかしルンド氏は「それよりも良かったのは、そうした結果になったのは中国が弱くなったからではなく、他の国が強くなったから、つまり全体の底上げがなされたことです」と話している。

「日本は素晴らしい。インドも素晴らしい。タイや台湾、それにスペインにはキャロリーナ・マリン(Carolina Marin)がいるし、デンマークも依然として頑張っている。バドミントンにとっては良いことです。競技の幅は広がっていますよ」 (c)AFP/Peter STEBBINGS