■傷を引きずる

 ゾウは飼育下での繁殖が難しいため、野生からの捕獲が常に必要とされている。

 ミャンマーでは、ゾウは極めて貴重な労働力となっており、最大の仕事量や、休息時間などを義務付ける政府規制によって保護されている。林業に従事するゾウは休日や産休を取得でき、定年も定められている。

 大半の作業は日中に行い、夜間は餌を探したり仲間と交流したりするために飼育個体も野生個体も一緒に森林に放される。

 ラハデンペラ教授は、「野生で捕獲されたゾウは、生け捕りにされたことによって受けた傷を長い間ずっと引きずっている」としながら、「飼育下の個体数を増やすためのより良い代替方法を見つける必要がある」と指摘する。

 かつてはアジアの大半の地域を歩き回っていたアジアゾウだが、今日では当初の生息域の15%の範囲内に分布が限定されている。現存する4万5000頭のうち、約3分の1が飼育下にある個体だ。国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」では、「危機(Endangered)」に分類されている。

 アジアゾウの中には70歳を超えて生きる個体もいる。その一方で、最も劣悪な環境は動物園だ。動物園のゾウは寿命が最も短くなるとされている。(c)AFP/Marlowe HOOD