(※この記事は、2018年3月24日に配信されました)

【3月24日 AFP】マレーシアでは、人と野生動物の衝突を減らすための重要な試みとして、訓練したゾウを使って、生息地を奪われるなどして人が住む地域に姿を見せるようになり、人だけでなく自身も危険にさらす野生のゾウたちをジャングルの奥地へと移住させる活動が行われている。

 中部クアラガンダ(Kuala Gandah)にある保護区は、熱帯雨林が広がる人里離れた場所で、ここでは、「マフート」と呼ばれるゾウ使いが絶滅の恐れのあるアジアゾウ26頭の世話をしている。

 この保護区にはけがをしたり親を失ったりして救助されたゾウもいるが、そのほとんどは、人との衝突に巻き込まれた野生のゾウたちを助けるための、国立ゾウ保護センター(National Elephant Conservation Centre)の活動を支援するのに飼いならされ、訓練を受けたゾウたちだ。

 こうしたゾウたちは高度な訓練を受けたチームに同行し、生息地を奪われ、結果的に自らと人を危険にさらしてしまう野生のゾウを探し、落ち着かせる任務を担う。

 同センターは約30年前にこの活動を開始して以来、野生のゾウ700頭以上を、人が住む地域からジャングルの奥深くへと移住させてきた。

 広大な熱帯雨林が広がるマレーシアは、ゾウやオランウータン、トラなど珍しい野生生物の宝庫だが、希少種の多くはここ数十年間で劇的にその数が減少している。

 象牙などの体の一部を闇市場などで売るために狙われるゾウもいるが、近年では、農地の急激な拡大や宅地開発などにより野生動物たちの自然の生息地が脅かされることで生じる、人と動物の衝突の犠牲となるゾウの数が増加している。(c)AFP/M Jegathesan