■放射線検査

 成長した犬の中には荒々し過ぎて家庭で引き取れない犬もいるとボランティアたちは言う。そんな犬は医療措置だけ受けさせて再び野に返すのだという。

 立ち入り禁止区域で保護された子犬の中には放射線が検出されたものは一匹もいないが、一部の成犬からは検出されている。「病院に連れてくる前にすべての犬を検査している」とヒクソンさんは説明する。

 犬が少しでも放射性物質に汚染されていれば体を洗い、特殊な粉末を使って除染し、必要ならば毛もそる。「犬たちがここを出る頃にはすっかりきれいになっている。他の犬たちと同じようにね」とヒクソンさん。

 ボランティアたちは、このプロジェクトは人々にチェルノブイリの現実を知ってもらう上でも役立っていると考えている。立ち入り禁止区域には奇形の生物がいると思っている人がいるかもしれないが、そこで生まれた子犬たちは他の場所で生まれた子犬と変わらない。

「チェルノブイリについて現実とは違う認識が多数存在する」とヒクソンさんは訴える。「ここに来たことがない人たちは、自らここに足を運んで自分自身の目で見ようとはせずに、ここでは何か変わったものが見られると期待する」

 そして一瞬間を置くと、笑顔でこう続けた。「ここの犬たちは私が今まで見た中で最も健康で賢いですよ」 (c)AFP/Olga SHYLENKO